2015年2月18日
北総俳壇
新春北総俳壇
◎…一席 ○…二席
・散歩道 しもやけの手を 優しく握りて 「大寒の日」 白樫 久子
○寒い中 切干拡げる 手が赤い 「農耕班」 齊藤 到
・風呂介助 手が冷たいと 怒られた 「Oさんは厳しい」 林 直子
◎土を練る かじかむ両手 白い息 「陶芸班」 興梠 孝
・ハイエース 誰が最初に ぶつけるか… 「新車購入」 三浦 圭織
・大晦日 紅白観ずに ボクシング 「いろんな大晦日があるのだ」 高岡 茂樹
・帰りたい でも帰れない お正月 「人生は厳しい」 篠塚奈緒美
・切干と 共に始まり 冬終わる 「今年も頑張った切干大根作り」 加瀬 裕一
・帰園日は 家族の思い出 花が咲く 「正月楽しかった」 安藤 悠果
◎昼ご飯 みんなで 食べる喜びが ずっと続けと 毎日思う 「皆、歳をとった」 師岡小百合
・一年間 大事に育てた 良い楮 「楮収穫期は一月」 内田 沙和
◎寒くても 私は風邪を ひくもんか 「利用者のために」 保科 智子
・空あおし 春待つ樹々や 枝はらい 「園周りは120本の桜山」高木 恭一
○福島から 届きし原木 被災地を想う 「原発はいらない」 杉本 和彦
○寒くても 負けずに働く 北総魂! 「働くこと生きること」 藤原 加奈
・お守りに 家族を思い 願い込め 「健康第一」 鈴木 美佳
・食べて寝て 気が付きゃ お腹が鏡餅 菅谷 大輔
・自販機に 入れたお金は おさい銭 「人生思うようにはいかぬ」 菅谷 大輔
・「あしたくる?」 仲間の帰園が 待ち遠しい 「またすぐケンカするのに」絵鳩 典子
・大寒や 桜の手入れ 春仕度 「さあ、今年も覚悟の時期だ」 猪田 昌宏
選者寸評
この人たちと〝働くこと生きること〟の日々を重ねて2014(26)が過ぎた。北総は今年で創立40周年の坂を上る。平均年齢50云才。皆年取った。白髪頭に禿げ頭、皺だらけの顔と手。ちちははは既に無く、年末年始の帰省も叶わず、園の暮らしを保守してくれたこの人たち。その彼、彼女が年末年始の冬の日差しの中で無心に〝働くこと生きること〟に身を置いてくれている。そんな毎日に寄り添う職員がそんな日々を活写した。興梠さん、保科さん、師岡さんを一席とした。皆下手くそだけれど心が伝わる句作に感謝したい。(虎風山人)